田代から小無間山、大無間山への登山(単独テント1泊)(前編)

山行日時:2013年6月29日(土)-6月30日(日)(曇り、霧)

[大無間山(だいむげんさん)について]

 アルプス深南部と呼ばれる山塊にあり、標高も2329mと、このエリアでは雄大な存在で、原始的な山の雰囲気を感じ取る事ができる。しかしながら、知名度は高くなく、奥深いアプローチ、途中に水場がないなどもあって、一般の登山者を寄せ付けない雰囲気となっている。

 登山コースとしては、井川湖(田代地区)からのピストン、寸又峡(大樽沢)からのピストン、或いは、それらを繋げた縦走などがある。それ以外にも寸又峡から風イラズを経由するコース、沢から上がるなどのバリエーションルートが幾つかあるようだ。

 寸又峡(大樽沢)からのコースは踏み跡が不鮮明という事もあり、田代からのピストンが最も一般的となっている。しかしながら、2013年に入ってからと思われるが、P1と小無間山の間の核心部となる崩壊地が、思いの外、劣悪な状態になっており、どのルートを取っても難易度が高いと思われる。

倒木エリア

 さて、今回の山行は、田代(井川湖)から1泊2日で往復する事にした。登ってみた感想としては、小無間小屋から続く強烈なアップダウンでかなり疲弊したという事、また、P1から小無間山に続く地点にある崩壊があまりにも怖かったのだが、中無間山から大無間山の間の神秘的な森林の風景に深い感銘を覚えた。ここまでの行程が大変だったという心理的な部分もあるし、登山中、ずっと霧がいい具合に出ていた事もあって、私の中でイメージする幽玄な風景というものがそこにあった。

[記録]

(1日目)10時間20分:16km

田代てしゃまんくの里(7:00)-小無間小屋(10:20)-小無間山(13:10/13:50)-大無間山(15:35/15:50)-小無間山(17:20)

(2日目)4時間:4.5km

小無間山(5:30)-小無間小屋-登山口P(9:30)

[1日目]

1.登山口から小無間小屋

車はてしゃまんぐの里へ

車はてしゃまんくの里へ

 いつものように金曜日の夜、家で食事をし、シャワーを浴びてから出発した。焼津から登山口のある井川湖までの行き方としては幾つかあるのだが、行きは千頭から静岡県道388号接岨峡線を通って、井川に向かうルートで約2時間で到着した。ルートによっては、全面通行止め、時間帯通行止めなどがあるので、以下のサイトでチェックしてから行き方を決める事をおすすめする。

 [静岡県道路通行規制情報提供システム]
 http://douro.pref.shizuoka.jp/kisei/program/index.php

諏訪の霊水。うまい!

諏訪の霊水。うまい!

 アプト式鉄道の井川駅付近からは、絵本の里がある「南アルプス井川観光会館」の更に先にある畑薙ダム方面に車を向かわせる。南アルプス井川オートキャンプ場があり、その辺りが田代地区となる。車は、その少し先にある「てしゃんまんくの里」という看板がある駐車場(公衆トイレがある休憩所)に止めた。ここに停めるのが一般的だと思うが、少し上がったところに「諏訪神社」があり、そこの境内に停めている方もいるようだった。

小無間小屋までの道

小無間小屋までの道

 てしゃまんくの里(場所はクリックしてください)から5分程度山の方に向かうと、諏訪神社の鳥居があって、そこが登山口へと繋がる山道となる。その横に、湧き水(諏訪の霊水)があり、大変おいしいお水なので、そこで汲んでいく事をおすすめする。今回は1泊2日という事もあり、私は5L程、汲み上げさせてもらった。実際の登山口はここから5〜10分程度上がったところにあり、登山届の記入場所がある。

多分、毒キノコ

多分、毒キノコ

 まずは、淡々と地味に登って高度を稼いでいく。田代地区の標高が660mぐらいなので、笹ヤブや杉の木に囲まれた里山という雰囲気だ。最初の目標となる小無間小屋(P4)の1,796mまでで、約1,100mと上げる事になる。久々のテント泊という事で、荷物が重く、小無間小屋に着く頃にはかなりバテバテで情けない限り。やはり、高草山で歩荷トレーニングが必要だ。
 

小無間小屋

小無間小屋

 小無間小屋は7-8人ぐらいは十分いける居住スペースがある。中にはブルーシートが引かれており、清掃も行き届いている感じがした。中に宿泊者ノートがあったので読んでみたのだが、P1-小無間山の間の崩壊地についての危険さについて書かれているものが目についた・・・・・・「行くべきではない」「引き返すべき」という意見が多く、若干、気持ちが暗くなる。

2.小無間小屋から小無間山まで

P1から崩壊地間

P1から崩壊地間

 行くとこまで行って駄目であれば、引き返そうという思いで進む。小無間小屋のあるP4からはP3->P2->P1と小ピークをアップダウンを繰り返しながら、越えていく。ロープ場があるような場所は一箇所で、特に危険な場所というのはなく、ただ単純に体力が徐々に削られていくという感じだ。P3、P1はピーク部分にテープがあったのだけど、P2は行きも帰りも見つけられなかった。何か目印はあるのだろうか。

ぐらぐらの核心部

ぐらぐらの核心部

 P1を超えてから下っていくと、いよいよ、核心部の登場だ。写真では恐怖感が伝わらないかも知れないが、実に極悪な崩壊地である。馬の背というレベルではなく、ナイフリッジだ。この日は、霧が出ていた事もあり、崖の全体像が見えなかった事が余計に怖く、吸い込まれて行きそうだった。幸いな事というか、静岡県の尽力かと思われるが、つい最近、トラロープが付けられたようで、上手く使えば、何とかいけるかなという感じだ。

核心部上部1

核心部上部1

 かなりビビリながらも取り付く。通常はロープ、鎖があっても、よっぽどの事が無ければ使わない方なのだが、今回は迷わず使った。取り付いて分かったのだが、掴めるところがない。石とか、土とか掴めなくはないのだが、あまりにも脆すぎて、これに頼るのは自殺行為に近い。今回は、ビレイを取らなかったのだけど、ロープでセルフビレイを取ってもよかったかと思う。そのぐらいのレベルだ。

 事前に登山ブログなどで情報を集めていたけれども、よもや、ここまでとは思っていなかった。やはり、写真では分からない部分がある。この崩壊地に、つい最近(2013年5〜6月頃?)、ロープが設置されたというは非常に不思議だったので、過去の登山ブログから写真を拾ってみたところ、最近崩落が起きた事が分かった。以前から難所ではあったようだが、ブログから幾つか拾ってみたところ、数年来、少しづつ崩壊はしていたようだが、今年の4月下旬頃に大きな崩れが発生しと推測される。ロープが張られた事で、一旦、危険度は下がったと思われるが、今も崩壊が急速に進行しているので、何かしらの対応が必要になるだろう。6月前半と後半で大きく違ってしまっている。

【大無間山 田代ルート崩壊地の時系列写真による変化】

[2013年6月29日]私が登った時の崩壊地の写真
[2013年6月8日]「山の草木に息吹を与える風」様のブログの写真
[2013年5月26日]「freemanのブログ」様の写真
[2013年5月4日]「ヤマレコ youji」様の写真
[2013年4月21日]「ヤマレコ eno1234」様の写真
[2012年9月9日]「Yサー♪のアクティブスタイル vol.2」様の写真

核心部上部2

核心部上部2

 ちなみに、ここも怖かったのだが、これを抜けた先にも少し危険な道が続く。「核心部上部2」の写真のポイントだが、右から行くか、左から行くかの選択がある。行きは右から行ったのだが、石がぐらぐらしていて、不安定な足場だった。帰りは左側から降りた。土砂で崩れやすいのだが、まだ、こちらの方が安心感があるので、こちらを選択するのが正解だと思う。写真を見ると、絶対に左なんだけど、現場では右を選択してしまった。左側が土でズルズルしていた一方、右の岩がある程度、しっかりしているだろうという期待からだ。。。慎重さが足りない、良くないな。

小無間山山頂

小無間山山頂

 この崩壊地を過ぎてからは急登が続く。三点確保しながら超える部分も多々有り、大分、疲れながら、小無間山への到着となる。今夜はここで泊まる予定なので、まずは、テントを張って、荷物をデポする。正直、ここでヘトヘトだったのと、既に14:00という時間だったので、大無間山まで往復する気持ちが折れかけていたのだが、この時期、日も長いので、ボチボチ行ってみるかと思い、頑張って出発した。

この記事は後編があります。田代から小無間山、大無間山への登山後編へ続く

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *


(上記4文字の英数字を入力してください)※

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>