オフショア開発ビジネスの勘所(課題)(3/3) – プロジェクト管理(2/2) -

 文化に起因した感覚の違いが大きい中で、どのようにして管理していくかは、オフショア開発を成功させる為の大きな課題だと思います。もちろん、プロジェクト管理ツールを使い、PMBOKのような技術を使っていく事は基礎的な事としてあると思います。ただ、「感覚の違い」を認識し、そこへの対応をしていく事が非常に重要だと思います。
 そもそも、日本で開発した場合と上海で開発した場合、どの辺りに違いがあるのかというところですが、

 1)クライアント(エンドユーザ)へのレポーティング
 2)言葉の違い
 3)言葉の定義の違い

の辺りになってきます。特に、3)です。これが最も大きな違いを感じます。


 1)クライアントへのレポーティング
 これはこれまで書いてきた通り、クライアントが日本にいるわけですから、顔を合わせてのミーティングというのは、チャンスが限られてきます。如何にしてクライアントに現在の進捗を報告していくかは慎重に行わないといけません。
 
 ある程度、見せれる形になってしまえば、報告は実物を見せればよいので、比較的簡単です。が、そこに到達するまでの間、如何にして報告すべきでしょうか?私は「誤解」というものを恐れていまして、オフショア開発で一番怖いのは、クライアントとの信頼関係の構築がなされない事です。
 
 例えば、クライアントが一般の企業の場合、プロジェクト管理シートを見せて、そこに書いてある事を信じてもらうしかありません。また、プロジェクト管理シートの意味を読み取ってもらうのも難しいです。弊社では極力、補足資料を用意し、システムに明るくない方でも理解してもらえるような報告を心がけています。
 クライアントがシステム部であったり、開発系の会社であった場合は、ファクトベースでの報告が可能になりますので、比較的、簡単です。CVS等を使って、最新のファイルを共有していく方法が考えられます。
 2)言葉の違い
 3)言葉の定義の違い
 実際にオフショア開発の現場で中国員の従業員と打ち合わせや報告会等をしている時に違いを感じるのは、「言葉の定義」に違いがある事を痛感します。ナショナルランゲージの違いそれ自体というのは殆ど問題になりません。何とでもなります。
 
 「言葉の定義」の違いというのは非常に注意をしなくてはいけません。例えば、「出来た」という言葉。日本の場合、かなりデバッグが進んでいる状態で初めて「出来た」という認識になりますが、中国の場合、そうではありません。バグが大量に残っている状態でも、「出来た」と言うケースがあります。
 弊社ではこの認識の違いは「しょうがない事」と捉え、マネージメントで対応しています。進捗の管理は、毎朝行い、週一でサマライズします。かつ、頻繁にコミュニケーションを取る事で、中身の確認や、仕様にずれが生じていないかを細かくチェックします。
 個々人の能力に依存するのではなく、マネージメントの力で品質を安定させる努力をしています。
 また、もう一つ例を上げると「テスト」です。恐らく、詳細なテスト仕様書無しで、プログラマーにテストを依頼すると、危険な結果が予想されます。不思議なのは、プログラマーにテストをさせても上手くいかないものの、「テスト要員」を別に準備すると、テスト要員たちはしっかりテストを行ってくれます。不思議です。中国でよく聞く「面子」が影響しているのかも知れません。
 人が絡む事ですので、理由を完全に分析する事は出来ませんが、実践を経ていく過程で修正していけばよいと思います。全く管理が出来ないという事ではありませんので、粘り強いコミュニケーションと微妙な調整の繰り返す事がプロジェクト管理だと思います。

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