1.3.ウーダ(OODA)ループ

第一章 今こそ求められるアグリプロジェクトマネジメント

< <前節 1.2. 段取り八分の「アグリプロジェクトマネジメント」

プロジェクトマネジメントでは計画を立て、実行し、改善していく事が基本になる。いわゆるPDCAサイクルと呼ばれるものだが、農業(特に、露地園芸)の現場では詳細な計画を立てる事に対して、以下のように否定的な意見が挙げられる事が多い。

  • 天候の影響が大きく、計画通りの実行は難しく、状況を見ながら柔軟に対応せざるを得ない
  • 長年の経験が頭に入っているので、細かく計画を立てなくても問題なく栽培出来る
  • 農業生産は工業生産のようにはいかない

確かに、せっかく立てた計画も、台風が来てしまえば、大きく変更を余儀なくされるし、天候や気温の変化、降雨量、日照量などは10日程度先までの予測が限界で、一ヶ月先の作業を計画通りに実行する事などほとんど不可能と言える。つまり、毎日、作物を良く観察し、作物の状況とこの先の天候を考慮して、その日の作業内容を決めていくべきで、詳細な計画を立てるべきではないというのも一理あると思う。

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2019年冬から2020年春までの天候とレタス相場への影響

8月23日に気象庁が3ヶ月予報を発表した。降水量は平年並、気温は9月と10月は高め、11月は平年よりやや高めといったところのようだ。10月の気温が高いと、夏のレタス産地が10月末ぐらいまで出荷する事が可能になる。夏産地が早めに出荷を切り上げてくれればいいが、しぶとく出荷してくると、秋産地の出荷と重なり、11月相場が厳しい状況に陥る。もちろん、台風が上陸するなどの突発的な要因があれば相場は大きく荒れるが、何も無ければ低位安定だろう。

引用:気象庁3ヶ月予報_2019年8月23日

引用:気象庁3ヶ月予報_2019年8月23日

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令和元年産 新米のお知らせ(静岡のお米)

毎年ご好評を頂いておりますどんぐり農園のお米ですが、今年も無事に9月中旬から出荷出来る見込みとなりました!当農園では5月下旬から6月上旬に田植えを行い、7月の中干しを経て、早い品種では9月5日頃から稲刈を行います。この記事を書いている8/25頃には全ての品種で出穂が終わり、登熟の段階に入っています。

201508_新米_YRF01
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レタス年度別売立実績と予算

昨日(8/20)、今年度最初のレタス播種を行った。昨年度は厳しい販売成績となったが、今年は、修正すべき点をしっかり修正して、良い結果にしていきたいと思っている。昨年度の苦戦の理由は2点あって、一つは単価の低迷(外的要因)で、もう一つは暖冬に対応出来ず前進出荷、品質低下してしまった事(内的要因)である。冬季のレタス生産における外的要因による経営上の最大のリスクは、「価格変動」である。下記は中央卸売市場における年度別のレタス卸売単価である。

中央卸売場レタス卸売単価2015-2019

中央卸売場レタス卸売単価(単位:kg・円)2015-2019 どんぐり農園にてグラフ化

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2019年6-8月の静岡県吉田町の積算気温と水稲出穂の関係

 今年(2019年)のお米の出穂は、品種によっては、例年よりも少し遅れており、7月の低温・日照不足の影響を受けていると考えている。8月に入り、気温上昇、天候は安定しているので、登熟で追いついてくる可能性はあるが、現時点では、例年よりも、数日程度、遅れての稲刈になる事が想定される。
 当地域(静岡県吉田町)では、5月20日頃から6月10日ぐらいまでが田植のピークになっていて、野菜の春作を行った田んぼになどよっては少し遅めとなる事がある。また、お茶農家の場合だと、一番茶よりも前に早めの田植えを行って農家もあるそうだ。当農園でも5/26〜6/8を中心として、とうもろこし、ズッキーニ後の田んぼを6/19に田植えを行った。
 品種としては、「あきたこまち(極早生)」「キヌヒカリ(早生)」「コシヒカリ(早生)」「きぬむすめ(中生)」の4種としている。複数の品種を生産している意味合いとしては、食味の違いを楽しむ為という事もあるが、品種によって、出穂・登熟までの積算温度が異なっているという成長速度の違いをうまく利用して、作業の平準化を行ったり、乾きやすい田んぼでは早生、乾かない田んぼでは中生を植えるなど、田んぼ特性に合った作付けを行っている。
 直近3年の田植日と出穂日を以下の表にいくつかピックアップした。ちなみに、出穂の定義は私が見て、7-8割出てるなーと思った段階を出穂としているので、私個人の能力による誤差がある事はご理解頂きたい。

❏ 田植日と出穂日データ(どんぐり農園調べ)

品種
2019
2018
2017
あきたこまち

5/26->7/30

5/27->7/31

5/27->7/31
5/30->7/30
キヌヒカリ

5/28->8/8

6/4->8/13

6/8->8/16

5/27->8/3

6/4->8/7

6/7->8/9

5/28->8/2

6/6->8/6

6/9->8/12

コシヒカリ

5/31->8/10

5/31->8/4

6/25->8/21

きぬむすめ

5/29->8/18

6/3->8/19

6/5->8/21

6/4->8/22

6/4->8/20

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ズッキーニの中央卸売市場価格について

下記はズッキーニの相場データを表にしたものだ。9〜11月は荒れ相場となっているが、それ以外は比較的、年次による差が少なく、価格が安定した作物であり、作りやすい作物だという事が分かる。

出典:中央卸売市場統計情報(ズッキーニ)

出典:中央卸売市場統計情報(ズッキーニ)


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ドローンによる農薬散布に関する見解

78万円という超低価格の農薬散布ドローンFlights-agが発売された。これまで100万円から250万円ぐらいだったので、この価格はかなりのインパクトだ。どんぐり農園では、ドローンの導入はしておらず、農薬散布はハツタ社の動噴を使っているが、値段としては同じぐらいで、路地野菜で使用出来るなら導入を検討出来る価格帯だと思う。ちなみに、かなりの数の農薬散布ドローンが発売されていて、下記のように農林水産省がリスト化している。

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/423catalog.pdf

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1.2. 段取り八分の「アグリプロジェクトマネジメント」

第一章 今こそ求められるアグリプロジェクトマネジメント

< <前節 1.1. なぜ、新規参入者がうまくいかないのか

私が農業を始めるかどうかを検討している際、静岡県の支援プログラムなどを利用して、県内の優良な農家を回って見学させてもらった事がある。また、大勢で見学するだけではなく、見学後に別途連絡させて頂き、個別に訪問し、直接詳しい話しを聞かせて頂いた事もある。幾人かの優良な農家の話を聞かせて頂いているうちに、以下2つの重要な共通点がある事に気がついた。

【共通点1】農作業日記を書いている

【共通点2】段取りが頭にしっかり入っている

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1.1. なぜ、新規参入者がうまくいかないのか

第一章 今こそ求められるアグリプロジェクトマネジメント

< <前節 0.はじめに:アグリプロジェクトマネジメントのすゝめ

 新規就農者がうまくいっているケースは多くなく、就農実態調査の所得状況の調査(図1-1)によると、新規参入者で300万円以上の所得を得ているのは、わずか9.8%にとどまっている。特に、露地野菜の所得が最も低く、平均で72万円、300万円以上はたったの5%となっており、かなり厳しい状況であるという事が分かっている。

就農実態調査所得調査

就農実態調査所得調査

図1-1 出典:新規就農者の就農実態に関する調査結果-平成 28 年度-

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0.はじめに:アグリプロジェクトマネジメントのすゝめ

第一章 今こそ求められるアグリプロジェクトマネジメント

 静岡で新規就農して5年、研修を含めると6年が経過した。そろそろ、ITを活用した農業の話を書いていこうかなと思っている。現在、生産している作物はレタスを中心として、トルコキキョウ、キャベツ、ズッキーニ、とうもろこし、水稲という複合経営を行っており、売上としては2000万円を越えてきた辺りだ。
 農業機械やハウスなどへの先行投資がある為、利益(所得)としては300万円程度と利益率としては良い数字ではなく、少し無理して規模感を出すようにしているので、経営的な評価は分かれるところではあるだろう。しかし、「新規就農者の就農実態に関する調査結果-平成 28 年度-(以下、「就農実態調査」)」によると、新規就農者(就農10年以内)の75.5%が「生計が成り立っていない」という調査結果があるように、ゼロから新規就農して経営を乗り立たせる事が非常に難しいという事実を考慮すれば、5年にしてはそこそこの規模感で、複合経営の土台が出来始めているという点は多少評価してもいいのではないかと思う。
 もちろん、頑張って仕事をしているという事ではあるのだが、それだけではなく、ITを活用して生産の最適化を行っている事が大きく寄与している。これはITの業界で使われるプロジェクト管理という概念を導入している事に加え、研修から含めて6年間、毎日、各種データを蓄積、分析しつづけてきた事で、農作業などに関して様々なナレッジ化が進みつつあり、精度を高めたプロジェクト管理が出来初めてきている。
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