コンバインでの事故

今年(2019年)、石川県でコンバインでの死亡事故が相次いだ。

◯9月5日 七尾市中島町上町 71歳

http://www.mro.co.jp/news/detail.php?cd=18940454

◯9月4日 白山市西米光町 69歳

http://www.mro.co.jp/news/detail.php?cd=18923167

9/5発生の71歳の方はトラックの荷台に載せる際にブリッジが外れて落下・転倒し、投げ出された事故、9/4発生の69歳の方は田んぼで接触(恐らく、轢かれた)事故だった。詳細が記事になっていないので、あくまでも想像になるが、田んぼに埋まった状態で発見されたという事は、乾きが不十分な田んぼでコンバインを自走させて轢かれたのではないかと思う。

落下・転倒は一般の方でも分かると思うのだが、農作業経験者でないと分からないのが、「一人で作業しているにも関わらず、コンバインに轢かれる」という事故だろう。これは、コンバインを降りて自走させる事があり、その際に事故に合う可能性がある。例えば、トラックへの載せおろし、田んぼへの進入・脱出、田んぼの畦を越す作業、泥濘からの脱出などだ。コンバインで段差を越えるのは転倒の可能性が高く、乗っているととても怖いので、比較的、小型のコンバインなどの場合は降りて自走させた方がやりやすい。

丁寧に行えば事故は起きにくいのだが、時間に追われて焦ったり、ブリッジを掛けるべき大きめの段差において、面倒でそのまま越えようとしたり、泥濘から脱出するのに前方に自分の荷重を掛けたりして無理やり脱出するなど、どうしても現場では無理な事をしてしまう。ブリッジで上がる時に少しでもズレていると思ったら、やり直すべきなのだが、慣れてくるとそのままやって乗り切ってしまう。そういった事が何度か続くうちに事故は起きてしまう。作業中でない時に落ち着いて考えれば、危険だなと思うことも、作業中は色々な要素が絡んで、考えが冷静ではなくなり、ついつい無理をする。

加えて、今の農業の現場は高齢化が進んでいて、60歳以上が最も人数が多い。特に水稲は機械化が進んだ事により、高齢者が一人でも作業出来てしまうのが非常に危ない。実際、2011年時点では、事故の85.8%が60歳以上となっている。

農林水産省、農作業事故の実態の概観より引用

農林水産省、農作業事故の実態の概観より引用

幸い、当農園では大きな事故は起こしていないが、ヒヤリ・ハットレベルの事は常々起きているし、同じ町内での事故については耳にする。安全の確認、作業で無理をしないというのは事故を防ぐという面において大事なだけではなく、作物や作業する人間にとっても良い事なので、死なない為に強く意識していこうと思う。

お亡くなりになられた方に心からご冥福をお祈りします。

◯補足 農林水産省 農作業事故の実態の概観

http://www.maff.go.jp/j/seisan/sien/sizai/s_kikaika/anzen/pdf/ao01.pdf

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