若者よ、海外へ行きたければ迷わずに行け!(上)

早稲田総研が発行するフリーペーパー「SKIPPER」の創刊号に記事を寄せました。

http://www.c-ri.jp/student/skipper2009.html

タイトルは編集の方につけてもらいました。出版されたので、こちらにも転載しておきます。これから就職をする日本の若い方向けに書かせて頂きました。


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 一口に海外と言っても広い。日本で声高く言われる「海外で通用する人材」という言葉は嫌いだ。一体、どんな人材なんだ?そもそも、海外とはどこを指して言っているのか分からない。世界は一つではない、多様性で満たされている。
 マスメディアを使った語学スクールの広告宣伝、国力を背景とした英語圏国家の宣伝行為が功を奏し、「国際人=英語がしゃべれる人」という図式すら一部ではある。くだらない商業主義の極みに辟易する。
 海外で働くにあたっての重要な素養は「自分自身で強い動機付けをする事が出来るかどうか」が最も重要だ。通常、あらゆる国家において、外国人というのは「異物」に過ぎない。つまり、基本的には不要なもの、無くても困らないものと考えた方がいい。その前提に立った上で、自分が生まれた国家以外で生活・仕事をするという事は様々な面で障壁があるのが当然である。それを乗り越えるには「動機」という強い力学が必要なのだ。そして、それは他者から提供されるものではなく、自己の内面から引き出されたものでなくてはならない。
 動機というのは様々だ。そこの国、人々が好きだという事でもいいし、ビジネスチャンスがありそうな国で金儲けの勝負をする、または、スポーツ選手のようにトップリーグで自分を試したいという動機もすばらしい。要は自分で設定出来るかどうかであって、動機の中身に巧拙はない。
 海外に出たいと思っている大学生が考慮する事など何もない。出たいという「動機」があるならば、出ればいい。未知の世界の事を考えても無駄だ。但し、日本での生活よりは間違いなく苦労が多いという事は覚悟しておくべきだろう。海外に出れば、必ず苦しい時が訪れる。それでも、逃げずに努力を続けていれば、動機は「強い意志」に変わる。自己の中に強い意志が生まれれば、次第に新しい目標・目的を自分で設定出来てくるようになる。
 少し分かりづらいかも知れないが、海外に出た当初は右も左も分からないものだが、生活を続けるうちに、大抵の事が日常化していき、視界が広がっていく。やってみなければ分からないというのが経験ではあるが、その経験の取り方というのは事前に準備をし、早い段階で計画をした方がいい。特に、予測出来る経験に関しては十分に考えるべきだ。
 最も考えなくてはいけないのは、生活と関わりを切り離せない仕事だろう。勢いで海外に行ったとしても、仕事選びには慎重になるべきだ。筆者が住む中国の場合の例で言えば、日本の企業のように手取り足取り社員教育をしてくれる会社は多くはない。自分自身で様々な事を身につけていく必要がある。日本で働くにしても、海外で働くにしても同じ事だが、将来のキャリアプランをしっかり見据え、仕事の専門性を身に付けていくようにはしておいた方がいい。海外では兎角に自分を見失い易いので、日本に居るよりも注意が必要だ。
 そのような点を踏まえて、将来を見据えた場合、選択肢を増やせる能力が少しでも多く備わっている事は有利だと思う。そのような能力の一つに語学力がある。冒頭でも述べた通り、語学力=英語力ではなく、ここではその国の言語を指す。会社が通訳を用意する場合もあるが、それは、専門性の高い仕事をこなせる人材に対してであって、通常の社員は自力でのコミュニケーションが求められる。
 個人的な経験からであるが、例え、相手の英語が流暢であったとしても、出来る限りその国の言葉を使うべきだと思っている。コミュニケーションは記号のやり取りのプロトコルではない。その国の言葉を大切にすべきだ。そもそも、日常生活では現地の言葉を使うはずなので、仕事は別にしても、言葉が出来なければ、行動が制約され、生活の楽しさが減ってしまう事だろう。
 いずれにせよ、そこの国の言葉を使う事は重要だ。もちろん、仕事をしながら言葉を覚えるというのは非常に困難なので、一年程度の語学留学を経てから就職活動に入るというのが効率がよいかも知れない。しかし、気合さえあれば、仕事をしながらでも語学勉強は出来るし、学校よりも実践で覚える方が向いているという人もいる。この辺りは個人の嗜好に合わせて選択すればよく、正しいやり方というのは存在しない。
次回につづく・・・

4 thoughts on “若者よ、海外へ行きたければ迷わずに行け!(上)

  1. Shyujikou

    海外滞在経験を持つ人は持たない人と思考パターンが違うのですね。僕としては、短かったとはいえ、米国でキャンプに参加した経験は、とても貴重だと思います。今後も、チャンスがあれば日本に行きたいですね。日本語しゃべれるから大丈夫かなと思います(実は一度も行ったことないので悔しい)。

    Reply
  2. Andy

    さすが!Shyujikou
    いい体験してるね!
    私も大学生の時にドイツでMITやサンパウロ大学(ブラジル)、ケンブリッジなどの学生と2週間ぐらいを過ごした事があります。いい経験でした!

    Reply
  3. まえはら

    たまには良いこと言うなぁ。笑
    同意する部分が多いです。
    自らの意思と行動力をもってやってきた人じゃないと、
    こういう文章は書けないですね。

    Reply
  4. andy

    ええ、たまには・・・ね。年に一回ぐらい言っとかないとやばいでしょ・・・。やっぱり。

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