「カイゼン」に向く中国オフショア開発(2/2)

 1/2はココ
 オフショア開発の難しい点の一つとして、発注側、受注側、双方にある一定のスキルが求められているところにあると思います。
 オフショア開発のスキルというよりは外注スキルです。仕様書の書き方も一つ重要な点ですし、プロジェクト管理能力という点でもあります。


 オンサイト開発の場合、多少、仕様書に問題があったしても黒板などを使いながら、仕様書の補足をしたり、問題が発生しても、常に近くにいる事による人間関係の繋がりによってカバーする事が可能です。
 オフショアの場合、人間関係というのは非常に希薄になりますし、仕様書が不完全である場合、下手をすると間違った解釈のまま開発を続け、かなり進んだところまできて問題が発覚する事があります。
 しかし、一方で、オンサイトの場合、Face2Face、言い方を変えると担当者同士の力量により問題を解決するという事があります。この場合、本来は「カイゼン」すべきところがあったとしても、何となく解決してしまい、会社の中にノウハウが蓄積されない、進化しないという問題があります。
 オフショアの場合、メインのツールが電子メディアになる事により、情報の共有が比較的楽だと言えます。確かに、メールなどのやり取りでは誤解も多く、非効率だという点は否めません。しかしながら、記録に残る、管理者層にも情報が共有されるというメリットは経営者層から見た場合、非常に大きなメリットになります。
 つまり、「カイゼン」を実施する場合において最も重要な「問題の顕在化」を実現しやすい環境にあります。また、そういった問題を適切なグループウェアなどに保存すれば、ナレッジ化し、他山の石として会社の財産に出来ます。
 もちろん、オンサイトでも同様の事を実現する事は可能ですが、現場スタッフの力量による部分が多くなってしまい、不確定要素が増えます。現実的には、非常に多忙を極める現場においては、将来的なナレッジの蓄積よりも、目の前の納品が最優先されるケースが多く、カイゼンを進ませるのは非常に難しいのではないかと思います。
 もっとも、隠れた情報が見える情報になったとしても、有効に活用出来るかどうかはその情報を拾うマネージメント層によるので、全てのオフショア開発会社が進化していくわけではありませんが・・・。しかし、有能なマネージメント層が居る環境においては、オフショア開発の方が、比較的、ナレッジマネージメントの可能性を高めると思います。
 また、マネージメント層だけのメリット以外にも、リーダ級のPGにクライアント対応の流れを見せる事が出来、社内教育(SE育成)という点においてもメリットを見出せます。オンサイトでクライアントと仕様をまとめる際、毎回、複数のPGを連れて行くというのはコスト面、顧客対応面においてマイナスである場合が多く、実現しづらいと考えられます。
 まとめますと、オフショア開発の場合、コミュニケーション方法が制限される一方で、情報の共有が強制される事により、ナレッジマネージメントにおいて、最も難しいとされる知識の共有化において有利な面があると思っています。
 数年前、日本、米国でナレッジマネージメントが非常に流行った時期がありましたが、結局のところ、ナレッジサーバなどツールは豊富にあるものの、余程意識の高いスタッフでない限り知識を形式化させる作業は負担が大きく、ツールを使いこなせないという問題がよく見られました。
 もちろん、「カイゼン」は一朝一夕では達成出来ませんので、ある程度、長い目で見ていく必要はありますが、ナレッジが蓄積され、社内において、その効果を体感出来ればプラスのサイクルにはいっていくと考えられます。
 実践するのは大変ですけどね・・・。ま、ダーウィン的には、厳しい環境における生存競争においてこそ、生命は進化していくってところですかね・・・?

2 thoughts on “「カイゼン」に向く中国オフショア開発(2/2)

  1. so

    なんだか上記エントリにすごい共感します
    「カイゼン」は一朝一夕にできないですが
    努力続けば、結果が付いてくると思います。
    全体のレベル上げるにはやっはり情報やノウハウの
    共有が一番です。
    project管理ソフトの導入とか
    社内blogとか
    News Aggregatorとか
    wikiとか
    いろいろやってみました。

    Reply
  2. 真崎英彦

    コメントありがとうございます。
    少しづつだと思うんですよね。急ぐ気持ちもありますし、折角、育てたエンジニアが辞めちゃう事もありますけども、それでも、少しづつ全体レベルが底上げされればと思います。
    自分自身含めて。

    Reply

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