起業以来、常々、弊社はオフショアによるシステム開発の「工場」となる事を目指しているという話をよくしている。
いいモノを生産する事だけにポイントを絞ってやっていこうという考えです。それを弊社の事業コアにしたいと思っています。
それは、単に、社内の生産モデルを工場のように単純化・機械化し、ただひたすら効率を上げるという作業だけでなく、他の人が作れないようなモノを作る事も目指しています。
週末、そのような話をしていたら、つまりそれは、「大田区の工場」を目指しているという事なのか?という話になった。
「大田区の工場」、これは分かる人には分かってもらえる、かっこいい表現だなと思います。この表現も、今後は取り入れて行こうと思います。
弊社の仕事(オフショア事業のみ、中国国内事業は別です)の大半は下請けとして受けてます。営業が、私しかいないという事もあり、直受けする機会は非常に少ないです。また、中国でオフショア開発を行う場合、クライアントから直接受けるよりも、クライアントに近い位置にいるシステム開発会社、ホームページ制作会社を窓口にした方が効率がよいとも考えています。
下請けとして、いいモノを作る為には、(工場の言葉を借りれば)「機械工(=プログラマー)」の技術力が一つ重要な要因ですし、工場内における「管理者(プロジェクトマネージャー)」の品質管理に対する仕事も重要です。
ただ、最近、未熟ながらにも分かってきた事として、中国オフショア開発は、社内の努力だけではいいものは作れないという事があります。
大量生産でありながら、「高品質なモノ」を作る企業として、最も有名な企業が「トヨタ」さんです。そして、最も有名な手法が「カンバン方式」と呼ばれる生産管理手法です。在庫管理を最小にしながらも、デリバリーの速度を保つ。相反する事を両立させる為の手法です。
そして、もう一つ有名なのが「カイゼン」です。これは言葉の通り、問題点を早急に発見し、それを改善していくという事を行うものです。
今の時代、「カンバン方式(ジャストインタイム)」は単なる技術論なので、それ程難しくはないと思っています、しかし、「カイゼン」はどのような時代においても難しいものではないかと感じています。
―― 何故か?
最大の理由は、問題点が分からないからだと思っています。よく、暗黙知文化の日本では、多くの事が「暗黙の了解」の中で進み、物事は何となく進むという企業文化があります。また、社内に対しても、社外に対しても、意見を言わない文化もあり、沈黙が「美徳」とも言える文化があります。
「沈黙は美徳」、この文化に異論はありませんが、中国オフショア開発ではちょっと困ります。また、そもそも、中国に限らず「オフショア開発」を行う場合、システム開発のプロジェクト中における日本側と中国側のコミュニケーションは電子メディアが主流になります。
「カイゼン」の初めの一歩は、問題の顕在化。つまり、「暗黙知」から「形式知」への流れを作る事です。国内オンサイト開発では殆ど見えない問題が、中国オフショア開発では顕在化させる事が出来ます。
また、通常、現場の人間だけにしか見えない「プロジェクトの実際の動き」も、プロジェクトに携わっていない管理者層まで目に見える形にする事が出来ます。「カイゼン」の仕事は「プロジェクトの現場」だけでは達成出来ません。フロントの助けも必要です。
中国オフショア開発では、ナレッジが「形式化」する事で、「カイゼン」の一歩を踏み出せます。
「大田区の工場」、最高です!w
「大田区」+「トヨタ流」
両方達成しましょう。