蹴りたい背中(綿矢 りさ)

蹴りたい背中 (河出文庫 わ 1-2)
 作者:綿矢 りさ
 発行年:2004
 出版社:河出書房新社
 読み終えた日:2007/08/12
 スター:★★★★☆
作者が19歳の時(2004年)に、史上最年少で芥川賞を受賞した作品。当時、非常に大きな話題になりました。芥川賞受賞作品としては、村上龍『限りなく透明に近いブルー』以来のミリオンセラー。


文体、小説の技術力という点において、賛否両論で物議を醸した作品です。
今回、初めて『綿矢りさ』の作品を読んだわけですが、冒頭から、私の知らない日本語、表現が羅列しており、衝撃を覚えました。
ストーリーや文体は等身大の高校生という感じです。知らない世界としての面白さがあります。恐らく、技術云々よりも「等身大」というのが評価され、芥川賞を受賞されたのだと思います。
随筆・日記という感じで雑な文章にも見えますが、よく読むと、かなり推敲された後を感じますし、計算された表現も多く見られます。
歳をとると、とかく、こういう本には拒否反応が出ますが、なるべくしっかり読んで、彼女独特の文体を楽しみながら、作品の本質を見て行くと面白いかと思います。
三十路を越えたおっさんがこの作品に共感するというのは難しいものの、表現に違いはあっても時代を超えて、若い人の本質的な問題というのは同じなんだと思います。歳取ったおっさん、おばさんにこそ必読の書です。
ちょっと気になるのは、彼女の世界を超えた作品を作る事が出来るかどうかという事です。折角、これだけの作家ですので、長く活躍して欲しいと思いますが、いきなりこれほど、評価されてしまうと、作家として必要な世界を広げる経験を積む事が出来ないのではないかと懸念します。
私が好きなところは、彼女の洞察力とそれを表現する能力です。色々な世界観を広げて、多様な作品を作って欲しいなと思います。

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