どんぐり農園の除草剤の利用について

除草剤について時々聞かれるので、当農園のスタンスをまとめておきます。何を聞かれるかというと、お客さんからは、除草剤の使用の有無とかで、同業の方からは何を使っているのかとか、圃場(作物を生産してしるところ)の中で使っても問題無いのか等などだ。

どんぐり農園で使っている除草剤

どんぐり農園で使っている除草剤は水稲の時期がメインで2種類ある、一つは、水田畦畔や田んぼまでの通路などに使ってる「グリホサート系(商品名:タッチダウン、バスタ、サンフーロンなど)」で、もう一つは、田植えの際に機械散布している「ブロモブチド系(商品名:パワーウルフなど)」だ。

なぜ使っているのか?

なぜ使うかというと、使わないと大変だからという事に他ならない。使わなくても出来るのではないか、楽をしたいからではないかというご指摘はごもっともなのだが、畦畔を草刈機で草刈りすると、1〜2時間/反ぐらい掛かり、除草剤無しで草刈りのみで対応をすると、おそらく、2週間に1回ぐらいの頻度になるので、田植え前から稲刈後の除草まで考えると、8〜10回/反必要になる。つまり、平均で15時間/反ぐらいになる。当農園の場合、2019年度は32反作付したので、480時間程度になる。正直、夏の炎天下に出来る作業量ではないし、掛かる費用も大き過ぎる。

自然農法とか無農薬栽培とか色々な農業があって、そういうやり方をすればいいというのも確かに一理あるのだが、正直、虫に食われまくったり、雑草にお米が埋もれてしまって、何を生産しているのか分からない状態になったりする。また、畦畔からツル系の雑草が伸びてくると、稲刈の際に、コンバインに絡んでしまい、コンバインへの負担が大きく、故障の原因となる。コンバインは非常に高価なので、出来るだけ壊さず、長く使いたいと思っている。テレビの企画のようにごく少量なら可能だと思うが、現実にはそうは行かないという事だ。

もちろん、除草剤を使うと言っても、むやみに使っているわけではなく、水田畦畔には栽培期間中に3回まで(ラウンドアップ)と利用には制限があるので、それを守って使っている。当園の場合は、極端にひどいところで無い限りは除草剤を2回利用し、除草剤の合間に草刈機で草を刈っておくようにしている。
稲作生産における畦畔の草管理についての考え方は色々あるが、私は出来るだけカリカリに刈っておいた方がいいという考え方だ。

除草剤は安全なのか?

除草剤というと、かつて、アメリカ軍が使った枯葉剤のイメージを持っている人もいるかも知れないが、それはさすがに違っていて、成分も作用機構も全く違う。ベトナムで問題になった枯葉剤はダイオキシンを含んでおり、それが人間に大きな害を与えたとされている。当農園では、日本の農薬法に基づいて売られている除草剤を購入し、日本の法律で定められたルールに従って利用しているので、ものすごく危険という事はないだろうと判断している。メーカ説明によると、グリホサート系の除草剤は植物のアミノ酸の生成を阻害するもので、アミノ酸の生成は人間は行わないし、土中に入っても分解され、残留性も低いので安心だと言っている。また、日本政府も検査をした上で安全としている。

しかしながら、グリホサート系の除草剤はヨーロッパでは使用が禁止され始めている。アメリカ国内は意見が二分しており、利用は禁止されていないが、裁判ではメーカのモンサント社が敗訴したケースがあるので、完全に無害だと主張するのは無理があるだろうと思う。

但し、上記には補足すべき点があって、敗訴した裁判の原告は年に20-30回散布作業をしていた上、ホースが外れて2回ほど浴びたそうで、かなりヘビーな利用状況だったと思う。また、アメリカやヨーロッパでは、小麦などに対して、グリホサート系除草剤でプレハーベスト処理を行っている。これは、下の動画(2014年ドイツのケース)にあるように、収穫直前に作物の上から除草剤を散布するという処理だ。日本では認められていない信じられない使用方法だ。

https://www.youtube.com/watch?v=z1_G1JoyNfM

日本と桁違いの規模の農業である外国では、効率化を求めて、そのような方法が取られてるそうなのだが、個人的にはそのような処理を受けた農産物を食べたいとは思わない。要するに、アメリカやヨーロッパと日本では農法に差があるので、外国がそうしているからと言って、直ちに、日本も同様にすべきだというのは少し乱暴な議論の仕方だと考えている。どんぐり農園としては、除草剤、殺虫剤・殺菌剤などの農薬の利用は、ルールに従った範囲で正しく使うようにしており、無農薬有機栽培などには取り組まないつもりだが、なるべく少ない利用に留めるように努力していこうとしている。

と言うわけで、どんぐり農園では除草剤を始めとする各種農薬は使っておりますので、気になる方はご購入を控えるようにして頂ければと思います。

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