空気を肥料にする農業の話

夏は時間があるので、色々と勉強しているのだけど、最近、衝撃を受けたのは、アメリカのアグリ系バイオベンチャーのPivot BioがシリーズCでビルゲイツのBreakthrough Energy Venturesなどから100万USドルを調達したという話。というか、そのテクノロジー。

https://therising.co/2020/…/03/pivot-bio-farming-revolution/

2010年設立のこのベンチャーは営農作物を肥料(窒素)無しで育てる事を目標としていて、2018年にとうもろこし用の添加剤の開発に成功している。
技術の詳細が公表されているわけではないので、こんなの怪しいだろうって思うかも知れないけど、恐らく、共生型の窒素固定バクテリア、つまり、マメ科の根に共生する根粒菌に類似したものに遺伝的操作したもの(ニトロゲナーゼに何かしているのではないか?)を活用しているのではないかと推測している。

日本の名古屋大学でもシアノバクテリアの遺伝子組み替えによる窒素固定技術の研究開発が進んでおり、空気を肥料とする技術の実現可能性が高まっている。窒素固定の遺伝子特定は済んでいるようなので、あとはどう活用出来る状態に持っていくかというステージのようだ。

http://www.nagoya-u.ac.jp/…/upload_images/20180510_agr_1.pdf

遺伝子の書き換えは何となく怖いけど、バクテリア、もしくは、シアノバクテリアを使った技術であれば、安全そうな気もするし、一酸化窒素の排出が減る事で温暖化対策になり、環境負荷を減らせる。現代農業が根本から変わりそうなテクノロジーだと思われる。
アメリカのバイオベンチャーの投資速度を見ていると、そんなに遠い話じゃなさそうなところが恐ろしくて、日本もここを頑張らないと、完全に世界から置いてかれそうな気がする。
まあ、空気を肥料にするところまで行くかどうかは別にしても、バクテリア系の研究(遺伝子特定)の進み具合を考えると、これからの農業トレンドとしては、バクテリア資材の活用となりそうだ。これまでもバイオ資材はあったのだけども、効果の発現が不安定という問題があり、化成資材の活用が必要だったのだが、ある程度、安定した効果が期待出来るバイオ資材であれば、非常に有効な資材となり得る可能性が高い。もちろん、本当に安全かどうかを国が検証する必要はあると思うので、農林水産省にはとっとと体制を作ってもらいたいと思う。
「バクテリア+減農薬・減肥+交配による品種改良」が次の農業トレンドで、最終的には、遺伝子組み換えが進んで、肥料も農薬も要らなくなる作物が登場するんだろうな。

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