レタス苗作り

稲作では苗半作と言われるが、野菜苗でも半作とまでは言わないが、とても重要な工程である事は間違いない。当園でもレタスの苗作りに関してはかなり注意して育苗している。良い苗というのは、「根っこがセルトレイの中で適度に巻いて、葉っぱの部分ががっちりとしている上と下でバランスが取れた若い苗」の事である。要は、日数が行き過ぎていない苗でありながら、乱暴に掴んでも抜けやすい苗が良い。

また、家庭菜園ではなく、仕事としての農業で考えた場合には、それだけではなく、「同一播種日の苗の成長の揃い」「病害虫被害を受けていない」「狙った日(当農園の場合、20〜25日)に苗として仕上がる」が必要になる。単に良い苗が出来ればいいというわけでなく、作業性も重要であるし、有効苗の比率を高める事でコスト低減にも繋がるという事だ。

レタス苗播種直後不織布被覆

レタス苗播種直後、不織布を被覆したところ

良い苗を作るにはいくつかの要素がある。

  • 適切な品種の選定
  • 適切な育苗培土の選定
  • 適切な管理(水やり、育苗環境のコントロール)
  • 天候(日照と温度)
  • どうしようもないのは日照不足と種子に問題があった場合で、曇天が続くと対応の方法がなく、非常にひょろひょろの苗となる。また、種子メーカの不具合により、発注した種子に問題が発生して、発芽率や揃いが悪いという問題も起きたりする。弁償してくれよと思ったりするが、大抵は、種子10%増量ですまされる。

    1.適切な品種の選定

    一般の方はあまりご存知ないと思うが、実はかなりの数のレタスの品種が存在している。なぜ、多くの品種が必要かというと、特性の違いによるもので、寒い時期には耐寒性、暑い時期には耐暑性、様々な病気に対抗出来る耐病性、業務(外食産業など)用の肥大性やスーパー向けの形状性など様々な要望に応じて、各メーカが競い合っており、新品種のリリースも毎年のように行われている。良い苗を作るにはしっかりと品種を勉強し、実際に作ってみて知見を溜めていくという事が大事だ。

    2.適切な育苗培土の選定

    一昨年ぐらいから住化のスミソイルロングアルファに切り替えている。ちょっと高いのだけど、亜リン酸の効果か根張りが良く、肥料持ちも良好なので、雨に打たれても育苗後半まで濃い緑色を維持していくれる。当園の場合、8月下旬から9月中旬ぐらいまではロングアルファのN100を使って、以降はN150にしている。

    3.適切な管理(水やり、育苗環境のコントロール)

    育苗の重要な工程は四段階あって、(Stage1)播種、(Stage2)発芽まで不織布を掛けて育苗、(Stage3)発芽後に不織布外してハウス内育苗、(Stage4)外に出しての育苗である。

    レタス播種・育苗概要図

    レタス播種・育苗概要図

    種子は、コート種というのを使っているので、播種後、覆土をせずに不織布を掛けて散水(弱めの水勢でたっぷり)しておけば、ほぼ発芽してくれる。その後、強くて良い苗にするには、水の量、不織布を外すタイミングとハウスの外に出すタイミングが重要になってくる。

    4.天候(日照と温度)

    上記1-3のように、ものすごく色々と気を使っても最後は太陽である。お天道様が苗を照らしてくれないと良い苗は作れない。人事を尽くして天命を待つという気分。

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