本日で東日本震災発生からちょうど半年になる。心よりお悔やみを申し上げます。
さて、今日は、おもちゃ病院Yaizuというこどものおもちゃを無料で直すボランティアグループに参加してきた。おもちゃ病院というのは、全国に幾つかあるようだが、焼津のは、清水のおもちゃ病院でやっていた古井さんという方が、2009年にはじめたものらしい。
【おもちゃ病院Yaizu(焼津)について】
開催日:毎月第二日曜日(10:00~15:00)詳しいスケジュールはこちら
場所:焼津市総合福祉会館「ウェルシップやいづ」
URL:http://www.toy-yaizu.org/
原則無料でおもちゃ修理していますので、お気軽にお持ち込ください。
数ヶ月前に、子供のおもちゃを預けた事があって、その存在を知ったのだが、今回は、スタッフとして参加してみた。
初めてだったので、出来るかどうかが本当に不安だったのだが、三つほど、修理する事が出来た。ま、簡単そうなのを探したわけだけど。。。
一個目:ハリケンジャーの携帯忍刀ハヤテ丸
一緒に渡してもらう診察券に諸々の状況が書いてあるのだが、「ボタンを押しても音も光もならない」という事だった。
なるほど。。。それだけか。正直、何のおもちゃで、正常な時はどうなっているかも分からないおもちゃの修理をするのはかなり難しいというか、まずは、どうすりゃいいの?って感じだ。。。
まずは触って、状況を確認する。確かに、スイッチを入れても、音は鳴らない。ふむふむ、なるほど。スイッチの入りがなんかおかしいなと思ったりしつつ、先輩ドクターからの指示で、とりあえず、分解してみる事にした。
先輩ドクターの道具を借りて、作業させてもらう。どうやら、工具関係は自前のようだ。手ぶらできた自分がちょっと恥ずかしい。半田や接着剤、電池などはイオン焼津店から寄付してもらっているそうだ。
まずはネジを外す。これは簡単な作業なのだが、設計図やマニュアルがあるわけではない。後で、自分で元に戻せるように、注意深くチェックしながら外していかなくてはいけない。メモ帳が必要だなと思いつつ、写真取りながら進める。写真は意外に効果的だった。いきなり小さなパーツが外れたりするのだが、このとき、写真に写っていると、元の姿が分かるので、大分楽なのだ。
さて、とりあえず、ネジを外したのだが、この後が、簡単には外れない。特に、誰かの大切なおもちゃなのだから、壊すわけにはいかない。いや、元々壊れているものだけど、分解中にパキっとかしてはいけない。。。ボランティアなのだからある程度はしょうがないというのはあるのかも知れないが、もし、パキッとかいって、割れてしまったりしたら、こどもは悲しむだろう。こどもたちの前では、大人はゴッドハンドではなくてはならない。新米でもしっかりと。
何とか、途中までは分解したのだが、最後がどうしても外れなかった。先輩ドクターにも手伝ってもらったのだが、接着されている可能性が高そうだ。こういう場合、もし、メーカのサポートが受けられるようだったらとても楽なんだけどなぁと思った。
開けるの苦戦していたのだが、分解している途中にカラカラという何か異物の音がしたので、取り出してみたところ、乾燥した米っぽいものが出てきた。結果、スイッチの入りがよくなり、普通に動くようになった。どうやら、スイッチのところにが嵌っていたようだ。結果的ではあるが、うまく修理する事が出来た。
二個目:おもちゃの電話機
これは受話器のボタンのところが切れ掛けてて、はずれそうになっていたので、接着剤で接着した。いや、実になんてことないと言えば、何てことないのだが、小さいこどもが遊ぶおもちゃなので、口に加えるかも知れない。そう考えると、はみ出さないように丁寧に接着剤を塗る必要がある。
ただ、接着程度であれば、ご両親が自分でやってみてもいいのではないかなとも思うのだが、どこからが線引きなのかというのも判断しづらいので、しょうがないかなとも思う。逆に、私のようなあまり腕がないドクターもこういった修理で活躍出来るし、これはこれでよいのかも知れない。
三個目:ペンちゃん ハンディ ターミナル
これはボタンを押してもきちんと反応しない事があるしい。微妙な故障。こういう故障は難しそうと思いつつ、開けてみる。まず、分解。3個目ともなると慣れてくる。
ボタン電池の部分の接触がイマイチだったので、その辺をきれいにしつつ、内部の回路で取れそうな感じの部分があったので、半田をしなおして、しっかり付けてあげて、修理完了。割とあっさりではあったが、帰り間際に、取りにきてくれたこどもがとても喜んでいたのでうれしかった。
さて、今回、やってみて思った事が幾つかあるので総括。
A.おもちゃを預けにくる方の中に態度が横柄だなと感じた人がいた。しかし、それに対して、受け付ける運営側はかなり丁寧に接していた。これは、プロとして、責任を持って仕事をしているという現れで、私のように「無料で直してあげている」という気持ちの人間ではボランティアというのは長く続けられないと感じた。今後続けるにあたっては、考え方を改める必要がある。「やってあげてる」ではボランティアではないのかなと思った。
そういう意味では、焼津のおもちゃ病院は「機械好きのおじさん」スタッフなので、皆さん、好きでやっているのだろうなと思った。
B.また、ボランティアというのは資金や支援が必要だと思った。なるべくお金を掛けないが、「なるべく」であって、ゼロではない。工具も自前だし、動作確認の電池などの消耗品も大量に必要だ。預かったおもちゃを保存しておくのも大変な労力だ。
C.意外と治せる。正直、簡単な故障が多いし、簡単な構造のおもちゃが多い(もちろん、ものすごく難しいのもいっぱいある)。ある程度、パターン化されるのではないかと思う。実践で経験を詰んでいけばかなり治せるような気がした。データベース化して、修理のナレッジ化と情報共有を進めれば、効率化出来ると思う。とりあえず、自分が治したものは情報を溜めていきたい。
D.この不景気な最中、景気対策と逆行するような動きはいいのだろうか。私も、まがりなりにも経営者の端くれだ。経済効果の少ないボランティアに対しては、それなりに抵抗感がある。
もちろん、自分のこどもにモノを大切にしろと教育してはいるが、消費低迷の原因の一因となるような動きはどうなのかと自分自身、思わないわけでもない。それこそ、バンダイさんの営業妨害じゃないかという気もした。
色々と思ったり、考えたりもしたが、こどもたちが喜ぶ顔を見れたので、しばらく続けてみようと思う。
日本の経済を憂うより、目の前のこどもが喜ぶ姿を増やす方が、私個人にとっては幸せが多い。