伊勢物語に出てくる俳句
駿河なる宇津の山辺のうつつにも夢にも人に会はぬなりけり
というのがある。これは東海道の静岡から藤枝(岡部)に入ってくる時に通る、宇津ノ谷峠越えの道「つたの細道」で詠まれたものだ。昨日、この岡部側からの道をのぞいてみた。写真は以下。
つたの細道(岡部側入り口)
http://www.flickr.com/photos/46884488@N02/4529304929/
逢えない恋人のことを偲んでいる歌なのだが、全く心情的に賛同出来ない。が、そんな気持ちになっちゃうような暗い道であることは間違いないなと思う。
さて、この歌はさておき、この近くを流れる木和田川に大正元年に施工された堰堤(えんてい)があって、兜堰堤と言われているそうなのだが、これに大変興味を持った。登録有形文化財に指定されているものだ。
今からちょうど100年前の1910年に大水害があり、それを契機に作られたものらしい。土木関係はあまり詳しくなく、100年前からこのような砂防技術が発達していたことを知らなかった。1914年には第一次世界大戦が起きている事を考えれば、当然の技術力であったかと思うが、堰堤など、当時の実際の技術に触れると、とても意外な気持ちになる。
2005年に2号堰堤が崩壊しており、その復旧の記録がここにある。
http://www.sz-cca.com/files/seminar/694673b9303cc48ff9d8f7c392aa6a79.pdf
施工担当:昭和設計株式会社さん
当時の景観を維持しつつも、再び、崩壊しないような作りを目指している。A4三枚程度のレポートであるが、内容が濃く、実際には、相当の苦労があったのではないかと思えるものだ。とは言え、当時の技術との戦いはやりがいと面白さのある仕事ではなかっただろうかと思う。カンボジアのアンコールワットでも同じような復旧作業が行なわれており、当時の技術と現代の戦いというのは非常に興味深い。
個人的にはこういう仕事には憧れるな。