今、自分が研修させてもらっている農家は静岡の榛原郡吉田町で農業をやっている「大石祐次」さんで、農林水産大臣賞を受賞した経験を持つ農業経営士だ。先端的な農家さんに受け入れてもらって、日々鍛えてもらっている。主要作物は、レタス、米、トルコキキョウで、複合経営となっている。
レタスは9月〜2月、米は4月〜9月、トルコキキョウは9月〜6月ぐらいが目処で、合間にとうもろこしとか、じゃがいもなどを少量作っている。一番の繁忙期は、レタスとトルコが重なる12月〜2月ぐらいになる。レタスの収穫、保温の為のビニールトンネル設置作業と、トルコの管理・出荷作業が重なる事に加え、日が短く、一日の作業時間に限りがあるので、体力を消耗する時期だ。
半年が経過したのだけど、これまでのところ、非常に楽しく研修をさせて頂いている。祐次さんの農家に受け入れて頂けて良かったなと思っている。実は、農業について興味を持ち始めていた当初は、ハウス内の施設栽培(イチゴやトマトなど)をやろうと考えていて、見学会でもイチゴやトマトを重点的に興味を持って見ていた。
色々な農業系の本を読んで勉強していると、露地土耕栽培(いわゆる青空の下でやるやつね)は台風など、外的環境に大きな影響を受ける為、栽培リスクが大きく、市場単価の上下も大変激しい。その反対に、施設ものは管理できる範囲が多い為、安定した経営が出来るハウスもののイチゴがいいのではないかと思っていた。
それでも「土耕」というのを選択した理由としては、見学会で大石祐次さんの農場を見学した時、外でやる農業の楽しさについて話を聞いて、大変刺激を受けたのと、その後で、個別に連絡を取らせてもらって話を聞いてみると、土耕には、土耕の経営ノウハウというのがあるという事が分かった。
また、農家だけではなく、JAさんであったり、役場の方達に話を聞きに行ったりしてみたところ、非常に対応が良く、今後、仕事でお付き合いをしていく上で非常に信用出来る相手だと感じた事も重要な判断要素の一つになった。
実際に初めてみて痛感したが、「土耕」が天候により大きな影響を受けやすいのは確かだ。研修を始めた2013年の10月頃、何本もの台風が来て、その度に対応に追われた。もちろん、台風に対するノウハウというか、技術はあるし、土砂降りに強い圃場など、シンドい天候であればあるほど、圃場の力の差というのが出るという事も分かった。
外から圃場を眺めていると、どこも同じように見える田んぼではあるのだけども、実際には、隣り合っていても差が大きくあって、有利な圃場を持っていれば、安定して高い収益を上げる事が出来る。
いずれにせよ、実際にやってみると見えてくるものはあって、必ずしも土耕栽培がリスクだらけであるという事ではないという事は分かった。また、吉田田んぼで富士山を眺めながらの作業というのは非常に気持ちのいいものである。