雁 新潮文庫
作者:森 鴎外
発行年:1948
出版社:新潮社
読み終えた日:2007/08/10
スター:★★★★☆
高利貸しの妾、お玉と大学生の岡田の成就しない儚い恋愛物語。
岡田の友人が語り手となって、一人一人の登場人物の丁寧な背景描写・心理描写がなされている。この手法により、脇役を含めた全ての登場人物のキャラが立ち、読者は物語に引き込まれていく。
脇役にスポットが当たる事で、物語の中心に位置する二人が強く引き立てられていく。古い時代の小説ではあるけれども、非常に実験的な手法を用いていて、斬新さを感じる。さすが、森鴎外。