オフショア開発の向き、不向き

 一般的には、人月が大きい案件の方がコストダウン効果が大きいとされており、大規模である程、オフショア開発に向くとされています。やはり、オフショア開発の場合、管理コストが通常よりも掛かるとされているところが主な原因なようです。
 確かに、大規模の方が当然享受出来るメリットは大きく、コントロールもしやすいのですが、やり方によっては小規模なオフショア開発でもコストダウンは可能です。しかし、現実的には、小規模な案件を出す会社ほど、コストダウンの要求は強いので、実際には小規模での開発でコストダウンをする事が求められます。


 もちらん、小規模なオフショア開発でコストダウンを実現するには、幾つかの条件があります。
 【発注者側】
 発注者側がオフショア開発に対して慣れていく事が重要です。弊社の場合、極力、日本の開発会社に発注して頂いているのと同じような感覚を目指しておりますが、どうしても若干の違いは出ます。
 もっとも大きな違いというのは「仕様書」に対する依存度が高いという事です。中国やインドのオフショア開発会社と最大のコミュニケーションツールは仕様書になりますので、どうしても重要になります。
 仕様書というのは単なるツールなので、そこまでこだわらなくても、いいんですが、とにかく先方に意図を正確に理解してもらう事が本質です。時間を掛けすぎると管理コストの増大に繋がりますが、最初は入念にやっておいた方がいいです。もし、この辺りのコミュニケーションを面倒に思う受注者であったり、理解力が悪いと感じた場合は発注先を変えた方がいいでしょう。
 【受注者側】
 仕様書が重要とは言え、発注者側に必ずしもそれだけの余力があるとは限りません。受注者側としては、先方のビジネスから理解する努力が必要ですし、発注者側の癖を理解する事も重要です。また、ウェブアプリケーションの場合、独自のフレームワークを持っている会社からの発注も多いので、それを短期間で習得していく体制は重要です。
 こういったコミュニケーションを円滑にしていく為には、やはり経験が豊富なブリッジSEがキーになりますが、それだけでは人に依存しすぎてしまいます。システムの受託案件というのは、基本的には、過去の応用が多く、全く新しい開発というのは非常に少ないと思います。従って、会社として、経験をどれだけ蓄積出来ているか、それを情報として共有出来ているかという仕組みづくりが重要です。
 つまり、この辺りの環境作りがしっかりしていれば、一般には不向きと思われている小規模案件でも十分にコストダウン効果を発揮出来ます。

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