むぎいち ロマンボトル

 金曜、知人と飲んだ。現在、無職の知人。来週には就職が決まるとかなんとか。
 一ヶ月ぶりぐらいにふと思い出して、まだ、無職か聞いたところ、無職というので、こちらも暇な夜という事もあり、メシ食おうと誘いだす。30分後って言っておきながら、一時間後に到着すると、やや怒り気味で日本語のフリーペーパーなど読んでいる模様。
 正直、時間を守るのが苦手だ。先だっても、家族連れで日本行きの飛行機に乗り遅れ、4時間以上も空港で時間をつぶした有様。思い起こせば、高校生の時から遅刻が多かったような気がする。人間の本質とは容易に変わらないものだ。


 嫁、子供が日本なので、夜や休日は、デカダン的とも言える生活を送っているのは必然だろう。この日は、かの知人に用件があっただけなので、話をして終わりでもよかったが、少し酒を飲んでいこうという事で、別の店に移動。
 この日は全く宛がないので迷ったが、以前彼と行った「憩(いこい)」というスナックに行く事にした。金曜日で混んでいるかと思いきや、遠くに団体客があるのみ。サイコロゲームでやに盛り上がっているが、そこだけ別次元で、全体としては静か。まさに憩の場所であるが、経営が大丈夫か心配になる。
 お店のチーママが何を飲むか聞いてくるので焼酎にする。いいちこがあるというので、いいちこに。上海の夜の店で飲む焼酎は「いいちこ」か「海童」が定番だ。
 ただ、ここ最近、日本の焼酎ブームが上陸したようで、おいしい焼酎を飲ませてくれるお店が増えてきている。数ヶ月前に「Shanty」という焼酎バーがオープンしたが、これがまた、なかなかの趣向の店構えであり、焼酎が豊富においてある。
 もちろん、場末のスナックでは焼酎の品揃えを期待できるわけもなく、出されたいいちこを飲むばかりである。が、小姐に注がれた焼酎がやたらに甘い。偽者のいいちこかと思いボトルをよく見ると「むぎいち」とある。生産も鹿児島、小正醸造とある。
 小正醸造の麦焼酎とはめずらしい。小正醸造と言えば、「小鶴」という芋焼酎が有名。意外なところで、意外なものに出会った。ここしばらく、あれほど、甘みのあるフルーティな焼酎は飲んでいなかったので、意外に美味しく感じた。こういうのはちょっとうれしい。
 二時間弱ぐらいそこにいる間に、一人のお客さんが二組程。一人のお客さんはさすがに静かに飲んでいる。静かなお店で、内装もきれい、客もまばら。お店の小姐も、別段、特筆する事もなく、値段も安い。
 なんとなく、このようなお店を気にいる辺り、なんだか安定志向のつまらない人間に成り下がったような気もするが、盛り場でありながら、上海という街の喧騒とはほど遠いお店の雰囲気に逆説的な面白さを感じているようにも思う。
 小正醸造
 http://www.komasa.co.jp/

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